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『卒業式、実行』スペシャル座談会

2年ぶりの再演に向け、脚本・演出とメインキャストが集合。

アガリスクエンターテイメントの歴史を振り返るディープな座談会に。

メンバー:

冨坂友(脚本・演出)

榎並夕起(卒業式実行委員会・委員長役)

津和野諒(卒業式実行委員会・副委員長役)

聞き手・編集 淺越岳人

スカッとして楽しい、推進力があるバックステージコメディ

淺越:それでは、まず改めて自己紹介を。
榎並:卒業式実行委員会委員長役、榎並です。

津和野:卒業式実行委員会副委員長役、津和野役の津和野です。

冨坂:脚本・演出の冨坂です。ちなみに元国府台高校卒業式実行委員の委員長です。2002年度の委員長。

一同:おー。

榎並:え、2002年?2002年に高校生だったんですか?

冨坂:高2。

淺越:おれ高1。

榎並:2002年は小学生だ。

津和野:てかさ、おれだけ初演のTシャツなのが恥ずかしんだけど。

榎並:本当だ。

津和野:みんな着てくるかと。でもいいことでしょ?

冨坂:全然忘れてた(笑い)。いいこといいこと。

津和野:やめろその感じ!

淺越:じゃあ、簡単に冨坂から作品の紹介というか、どんな作品なの?って話を。

冨坂:卒業式の裏側を舞台にした、バックステージコメディです。ていうと一言過ぎるんで。卒業式の国旗掲揚と国歌斉唱で揉めた時期が各地の高校でありまして。ぼくが卒業式実行委員長としてその渦中にいたんで。せっかくだからこれをお芝居にしようと思って、まず『紅白旗合戦』ていう作品を作ったんですね。これは国旗・国歌で揉める先生と生徒の話し合いの物語で。

淺越:『紅白旗合戦』は榎並は出ていないよね?

榎並:はい。

淺越:で、おれと津和野は出ている。

冨坂:2015年の春ですね、『紅白旗合戦』は。

津和野:あれはおれら、どういう役だったっけ?

榎並:弁論部。

淺越:おれは弁論部の、部長なんだっけ?

冨坂:弁論部ひとりしかいないから。

津和野:駆り出されてきたやつだ。

淺越:教員を論破するための召喚獣(笑い)。

津和野:おれ、なんだっけ?書記みたいなことやってたっけ。

淺越:生徒会?

津和野:記録を取ってた。「連協」の。

淺越:「連絡協議会」(註:国府台高校に実在した、教員側と学生側の代表が話し合う会議)ね、そうだったわ。

冨坂:それをもっと切羽詰まってて、もっとドタバタした話にしたいな、と思って。それをバックステージコメディ(注:その名の通り「舞台裏」を舞台にして進行するコメディ)に変えて、『卒業式、実行』というコメディを作りました。その再演です、ていうのがまず今回の位置づけですね。「国旗・国歌」って問題が最初に来ると、とっつきづらい感じあるじゃない。『紅白~』は。

津和野:まあ、「一石投じる」みたいな。

冨坂:思想の話かな、てなるんだけど。だからそれを下敷きにしてるんだけど、『卒業式、実行』は『ショウ・マスト・ゴー・オン』(註:『ショウ・マスト・ゴー・オン~幕をおろすな』。東京サンシャインボーイズの代表作のひとつ)です。

榎並:三谷幸喜の。

津和野:だから(国旗・国歌は)主題じゃないよね。言うたら。

冨坂:うん。『紅白旗合戦』と『卒業式、実行』は、同じ題材なだけで、メッチャクチャ変わってるもんね。

津和野:『紅白~』は、国旗・国歌それ自体をイジる、みたいなネタも多かったじゃない。

冨坂:あった。

津和野:「国旗って日本国旗じゃなくてもいいじゃないですか!?」みたいなの。

淺越:舞台上で実際君が代歌ったりね。

津和野:あったあった。あとドラゲナイも、、、

冨坂:え、全然覚えてない。

榎並:コータさんだ!

津和野:斉藤先生が主張する流れでドラゲナイ(註:『Dragon Night』。SEKAI NO OWARIの楽曲)になって、「なんかコレ聞いたことあんぞ!」って。

冨坂 話を戻すと、生徒が自分たちで卒業式を作っている学校で、『紅白旗合戦』みたいに国旗・国歌で揉めて、そのまま卒業式当日を迎えてしまった、ていう。

津和野:『紅白』をよりヤバい状況にした、ていう。

淺越:アレで話がまとまらなかった並行世界の話というか。

冨坂:そのまま卒業式になってしまって、学校も生徒もお互い「プログラムにあるから」とか「ないから」て言って折れない。卒業式の裏側で、リアルタイムで問題が進行していく。

淺越:卒業式やってるのと同時進行で。

冨坂:それに振り回されるのが、卒業式実行委員会のふたり。事実上、舞台監督というか。舞台の進行役。

津和野:バックステージコメディで言うところの、舞台監督。

冨坂:『ショウ・マスト・ゴー・オン』で言うと西村雅彦さんとか伊藤俊人さんとか。彼らに色々なトラブルが起こっていくなかで、無事に卒業式ができるのか、ていうコメディ。

淺越:だから本来は国旗とか国歌とか関係がない人たちですよね?

榎並:思想はないですよね、わたしたちには。

津和野:目的はそこじゃないからね。

榎並:あくまで式をどうするか。

淺越:それが『紅白旗合戦』との大きな違い、と。

冨坂:今回は「走り抜ける作品」なので。また『紅白』との比較になっちゃうけど、あれは会議の話で、時間も結構飛んでいた。色々な場面を描いて。それによって、なにか「お話」みたいになってしまっていた。

津和野:はいはい。

冨坂:ただでさえ誤解を生みかねなくてとっつきづらい題材なんだから、今回はスカッとして楽しい、推進力がある話のがいいな、と思っていて。

津和野:タイムクライシスよね、マリオとかで後ろから迫ってくる、、、

冨坂:強制スクロールね。そもそもバックステージコメディていうのは、三谷幸喜が、、、『駅馬車』だっけな?そういう走っている乗り物、電車とか。そういう止まっていない場所で起こるお話を、「どうやって舞台でやれるだろう」って舞台裏に置き換えたものだから。

榎並:へー!

淺越:「駅馬車方式」だよね。『駅馬車』って映画(ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演。西部劇の不朽の名作)があって。「駅馬車の中で起こっている事件」と「外で起こっている事件」を交互に描く、みたいなのを初めてやった映画。

津和野:そういうのってさ、「電車が止まれないからヤバい!」みたいなの結構あるよね。

冨坂:『スピード』(ヤン・デ・ボン監督、キアヌ・リーヴス主演のアクション映画。バスが一定のスピード以下になると爆発する)もそうだよね。

津和野:で、『卒業式、実行』も止まれないんだけどさ、駅はあるじゃん。式次第というか、プログラムって駅が。「ここでこういうイベントをクリアしなきゃ!」っていういろんな種類の乗り越えなきゃならない壁があるのが面白いよね。

冨坂:だから『新感染 ファイナル・エクスプレス』(ヨン・サンホ監督、コン・ユ主演のゾンビ映画。特急列車の中でのパニックアクションが特徴)みたいなもんよね。

淺越:ステージクリアものなんだよね、だから。

榎並:一個ずつクリアしていく。

冨坂:だから、そういう疾走感とか、ヤバい事件の連鎖が見どころになるのかな。

榎並:怒濤の2時間だった記憶がありますね。

淺越:とくに2人(榎並・津和野)はね。ずっと舞台上にいるから。

津和野:そうねえ。

榎並:ハケないんで。

ヒーローとヒロインの関係だった2人が、ヒーローと倒すべき敵になる

淺越:では、それぞれから今作のキャラクター像や、どんな役か、というところを聞いていきたいんですが。

榎並:どんな役か。卒業式実行委員の委員長で。やっている理由は、要はわたしの一個上の代の先輩が、好きなんです。

淺越:卒業式実行委員会の先輩が。

榎並:今年卒業する先輩が好きで。その先輩のために、式を成功させたい。そういう気持ちでやっている、とくに国旗とか国歌にもポリシーがなくて、ただ「やめてくれ~!」って思っている感じの、、、女です。

淺越:ポリシーのない女(笑い)。

榎並:だから国旗・国歌に関しては、決まってくれればどっちでもいい。

淺越:だけど、一番被害を被る人。

津和野:うん。

榎並:校長と生徒会長、2人とも怖いから。穏便に済ませてほしい。いい感じに終わってくれればいいな、って思いながら当日を迎えてしまった人です。

淺越:ツワは?

津和野:ぼくは副委員長なんですけど。やってる理由としては、まあ同級生であるところの委員長である榎並が好きだから、、、ほぼ一緒なんですけど。スライドしてるだけで。だからポリシーもなく。それこそ、「卒業式を成功させる」みたいな熱量も、、、なんだろ。

冨坂:モチベーション?

津和野:モチベーション!そこまで高くない。

冨坂:いっしょに作業出来たらいい。ある程度力にはなりたいけど、成功しないと、みたいな感じではない。

津和野:でも困ってるのは見過ごせないし。だから、可哀そうです。

一同:(笑い)

冨坂:どれだけ協力しても、その協力してる人が別の恋心のためにやってるから、報われない。

津和野:そうね。

冨坂:、、、『いざ、生徒総会』の生徒会役員たち(池内・古谷・江益)といっしょです。

淺越:好きよねー。

榎並:三角関係。

冨坂:まあ、(そう)なっちゃったよねー。

津和野:てか、おれの使い方コレ多くない?

淺越:榎並もじゃん?多いよね、「報われない枠」。

榎並・津和野:多い!

冨坂:多いね。

榎並:『発表せよ!大本営!』(註:アガリスクエンターテイメントの前回公演)もわたしそうでしたし。

津和野:おれ珍しく違ったもん。

淺越:恋愛に絡まないチームだったからね。

津和野:大体おれ可哀そうだもん。

榎並:叶わないですからねー。

冨坂:、、、今回は、その気持ちは叶うのか!?みたいな。

榎並:叶うのかなー?

冨坂:でも、2人のが同時に叶うってことはまずありえないよね。

淺越:再演にあたって、その辺はあるんですか?恋の鞘当て、みたいなの。

冨坂:あんま、、、ないんじゃない?

一同:(笑い)

冨坂:というのも、それどころじゃないから。

榎並:式がね。

冨坂:切迫しまくっているから。

津和野:だけど、、、さすがに、おれその辺(切ない恋)なかったよね?

冨坂:うん。なんかね、そこはやっておこうとおもいます。

津和野:そこはね、もったいないと思った。序盤やっているわりに後半なんもないから。サポートに徹してるだけで。

冨坂:うん。でも、結局サポートには徹するキャラクターじゃん?

津和野:もちろんもちろん。

冨坂:だから、「サポートに徹する」て決めるイベントとか。そういうのが必要よね。

津和野:そうそう!

淺越:(恋愛から)降りるところね。

榎並:初演は、「流れで」でしたからね。

淺越:風呂場で電話しながら泣く、とか。

榎並:矢田亜希子!

冨坂:それは『恋ノチカラ』の矢田亜希子だ。

淺越:あれ、『やまとなでしこ』じゃなかった?

榎並:『やまとなでしこ』お風呂場でしたっけ?

津和野:ややこしいんだよ!

淺越:今ちょうど津和野の話が出たけど、再演にあたって「こうしたい」「ここ変える」って話を聞いていこうかな、と。

冨坂:人間関係と出来事が、、、同じ階層で混ざってたんですよ。出来事ってのはトラブルね。卒業式で起こるトラブル。それと、この人がどう思っていてどう行動する、とかここで心境が変わる、とか。そういうレイヤーが分かれていなかった。

津和野:はいはいはい。

冨坂:同じレイヤーでゴチャゴチャしていた。だから、まず出来事は出来事で整理して、それによってこの人はこう思っている、というのを書き分けたいなって思っている。

津和野:点在していた気がする。層になっていなかった、というか。

淺越:本来は出来事によって人が動いて、人の心情とか行動によって出来事が動いて、ていう連鎖反応よね。

冨坂:それは分けたいな、と。専門的な話になっちゃったけど。あと、、、クライマックスをもっと盛り上げたい。もっとヒリヒリさせたい。簡単に言うと、榎並が恋する先代の委員長である先輩。この役割がまるっきり変わるんですよ。

榎並:うん。

冨坂:要するに、ヒーローとヒロインの関係だった2人が、ヒーローと倒すべき敵になる。

榎並:言っちゃう?

冨坂:言っちゃう。なんか、この先輩を倒す話にしたくなったんだよね。

津和野:でもわかる。初演の甲田先輩は、神的なポジションというか。なんか榎並の憧れがそのまま役柄に投影されたというか。

淺越:人間ぽくなかったよね。

津和野:言っちゃ悪いけどほぼ「いない」というか。概念だから。

榎並:言ってましたよね、「一個上に上がってる存在」って。

冨坂:まず着地点を恋愛にしたくない。それで考えると、近しい人を、、、好きな人とか親とか兄弟とか、そういう近い人を殺すのってアガるじゃん?

津和野:パッと聞くとヤバいやつだけど。

一同:(笑い)

津和野:でもわかるよ。 

冨坂:だから、『Gガンダム』(『機動武闘伝Gガンダム』。ガンダムシリーズながら熱血格闘バトルが繰り広げられる異色作)で例えると、、、

榎並:えー!

冨坂:(笑い)ていうか、よくヒーローものであるじゃん?ヒロインが敵のボスに取り込まれたりするやつ。ラスボスのコアにヒロインがいるやつ。

津和野:あるね。ロボット系とかにあるよね。

淺越:『ガオガイガー』(『勇者王ガオガイガー』こちらも熱血ロボットアニメ)とか。

冨坂:だから、ラスボスはヒロインなんだよ。

淺越:それはさっきの話と繋げると、ヒロインとの関係性とボスとのバトルを、合体させるためよね?人間関係と出来事をレイヤー分けたうえで、最後にガッチャンコする。

冨坂:それと、好きな人を殺さなきゃいけない葛藤。どっちをとるのかっていう選択を迫られるじゃん?そっちのほうがアガるじゃん。だから初演終わったころから、「クソ、こうしとけば良かった!」って。

淺越:つまり、榎並の好きな先輩がラスボスのコアに取り込まれると?

冨坂:そういうことです。

榎並:それをわたしが倒す。

津和野:そのコアが真っ赤で、後ろが白いんでしょ?

一同:(笑い)

冨坂:それと先輩と後輩、「師匠と弟子」である、ていうのも効くじゃない?この設定。

津和野:はいはい。

冨坂:だからドモンと東方不敗が付き合ってたとして、、、

津和野:だからわかんねえ!

冨坂:、、、『Gガンダム』のクダリはカットしたほうが良いと思う。

一同:(笑い)

冨坂:好きな人を最後に倒す。それが一番大きな変更ですかね。

榎並:先輩がラスボスになる。

津和野:あるもんね、それ。家族とか。

冨坂:「親殺し」は大きなテーマだからね。

津和野:あと兄とか。

冨坂:、、、シュバルツ兄さんじゃん。

淺越:だからGガンを出すな!

津和野:カットが大変!

冨坂:Gガンそういうのありすぎじゃない?兄を倒し師匠を倒し、最後にヒロインが取り込まれてそれを倒す。

淺越:全部乗せだ。

津和野:だから榎並、ちゃんと参考資料として観とかないと。『Gガンダム』。

冨坂:観なくていい観なくていい!

こういう役は劇団的に縁がある人にやってもらわないと意味がない

淺越:今のがたぶん一番大きな変更点なんだけど、他にも色々あるよね?例えば、新キャラクターとか。

冨坂:新キャラですが、伊藤圭太演じる「???」。決まりました。

榎並:言っちゃう?言っちゃう?

冨坂:同窓会の会長で、壇上でスピーチする人なんだけど。同窓会長だから、卒業生なんだよね。でも、保守系の政党からバックアップを受けて選挙に出馬しようとしてる政治家。

津和野:ややこしいですねえ。

榎並:ややこしやー。

冨坂:自分がスピーチする卒業式で、国旗・国歌をやっていないわけにはいかない人。

一同:(笑い)

冨坂:市長選にしようか市議選にしようか迷ってるけど。だから、自分の選挙のアレコレもあって同窓会長をやっている。

榎並:いやあ、味わい深いなあ。

津和野:だし、自分のなかにもまだ「国府台的なもの」が残ってる。

冨坂:かも知れないね。なので、立ち位置としては前田綾香さん演じる保護者のカウンターみたいな感じ。

淺越:左寄りの保護者と、右寄りの同窓会長。

津和野:ここで卒実メンバーの新たな板挟みが産まれるわけですね。

冨坂:やっぱりそこでね、学校とか行事とか、そこ以外のロジックで介入してくるヤツ。それが初演では「左側」にしかいなかった。それがバランスを欠いていたかな、って思って。

淺越:あと、ジャンプさんの立ち位置も変わる?

冨坂:ちょっと。卒業式実行委員会の顧問というのは変わらないんだけど、比較的生徒に理解がある先生、というので初演は立ち位置が微妙だったんですよ。

津和野:流されやすい先生というかね。

榎並:ノンポリ?

冨坂:どうせそうなるんだったら、もうちょっと卒実のメンバーと近い位置にしたほうがいいな、と思って。だから、基本のパーティ―が卒実の委員長と副委員長と、有志の司会じゃないですか。ここに顧問の矢吹先生がたぶん加わる。

津和野:トルネコだ。

淺越:『ドラクエ4』(『ドラゴンクエスト4』)だね。

冨坂:わかんないっす。

淺越:やってないもんね。

津和野:おれもやってない。

一同:(笑い)

津和野:見た目だけで。

冨坂:それに伴って、比較的パーティーといっしょにいた生徒会長の熊谷が、ちょっと離れる。

津和野:そうなんだよね、あそこがさ、いっしょにいすぎた感はあるよね。

榎並:そうですね。

冨坂:それによって、生徒が一枚岩みたいになっちゃってたから。

榎並:まあ、隠すものがいっしょだったり、ていうのもありましたからね。

淺越:そういう、ポジションチェンジが行われる、と。

冨坂:あと、さらに新キャラとしての、星秀美&古屋敷悠。「友情出演」という不思議なクレジットの。

淺越:「友情出演」。これは、どういうこと?

冨坂:ちょっと枠が別なんですよ。彼らが役者として、とかそういうことじゃなくて。出演の仕方が、ちょっとだけイレギュラーなので。

淺越:もう少し、言える範囲でいいから。

冨坂:、、、この卒業式のプログラムで揉める、舞台袖の出来事がメインになるじゃないですか。そこに、来ない人たち。

榎並:これで察する方は察するかもしれないけど。

津和野:ノット・バック・ステージャーだ。

一同:(笑い)

津和野:でも重要なポジション。

榎並:いいですよね。知っている身からすると。

冨坂:あの2人があのポジションにいるの、アツいよね。

榎並:アツい。

淺越:補足すると、星は初演の『卒業式、実行』で司会役をやっていて。

榎並:だから、3人でパーティーだったんですよね。

淺越:で古屋敷くんは、『ナイゲン(全国版)』と、、、

津和野:『時かけ』の京都公演ね。アツシの代役(註:『時をかける稽古場2.0』では、『いざ、生徒総会』にも出演するさいとう篤史が体調不良で途中降板。京都公演から古屋敷悠が代役を務めた)。

冨坂:つまり、2人ともアガリスクにすごく馴染みがあるけど、今回の『卒業式、実行』には最初立ち上がるときチームとして出ない、という話になっていた。スケジュールだったり色々あったし。だけど、この出方なら出られるし、こういう役は劇団的に縁がある人にやってもらわないと意味がない。

淺越:ジャストだよね。

津和野:いやー、すごくいいと思った。

淺越:本人の俳優としての腕も含め、われわれとの関わり合いも含め。

津和野:あとパーソナリティも。

榎並:いいですねえ。

津和野:これ今読んでる人、「なに!?」と思ってると思うけど、観に来てください。

一同:(笑い)

大人側のエモさに寄り添えるようになってきた

淺越:これはちょっとアガリスク知ってくれてる人向けの、質問になっちゃうかもしれないんだけど。

津和野:まあ、いいんじゃない?

淺越:われわれは今まで結構、いろいろ再演をやってきたじゃない?例えば、『ナイゲン』でも2006年から始まって、『2012』、『2013』そして『全国版』があって。『時かけ』も初演と『2.0』、最近だと『わが家の最終的解決』と、再演のたびにリライトしているんだけど、今作はどのくらいの改稿のイメージ?

冨坂:『わが家』くらい。

榎並:じゃあ、結構(書き換える)。

淺越:『わが家』だと全体の半分くらいの直しだっけ?

冨坂:うん。さっきの話でクライマックスが全然変わるし。新キャラとかキャラクターの配置もあるし。

淺越:別の作品ですよ、と。

津和野:そうね。

榎並:大筋はいっしょだけど。

津和野:お話のブーストがかかってくるポイントとかも違うだろうし。

淺越:おれが想定していたのは、実は『時かけ2.0』なの。登場人物が増え、それによって最後の並行世界の分岐、全然違う結論に行きつくから。

榎並:なるほど。

冨坂:そうかもね、それに近いのかも。ただ、『時かけ』とか『わが家』と違うのは、そんなに長くならない。

他3人:うーん、、、(本当か?)

冨坂:で、長くしないために、さっき言った人間関係と出来事をちゃんと整理する、っていうのをやりたい。色々書きたいドラマがあるからこそ。

津和野:初演の時ってなんか。飛び道具というか見世物みたいな登場人物の使い方をしていた気がして。それ自体は悪いことじゃないんだけど、もっと奥行というか、もっと3Dにできる気がする。

冨坂:それこそ、ドラマがありそうな登場人物たくさんいるもんね。矢吹先生とか。

榎並:伊藤さんの同窓会長とか。

津和野:なんか、どのタイミングからなんだろうね。そういう、先生側というか、大人側のエモさに寄り添えるようになってきたのは。

淺越:あー。

津和野:初演と今回の比較とかじゃないけど。もっと広い話で、いつからなのかな、てちょっと思うよね。自分たちが。

淺越:また昔話みたいになっちゃうけど。『紅白旗合戦』やるとき、そういう「大人側の事情も描こう」ていうコンセプトだったんだよね。『ナイゲン』はさ、学校側の人間ひとりも出てこないんだよね。悪の帝国として書いてる。

津和野:生徒を邪魔する存在でしかないからね。

淺越:でも、例えば『ナイゲン』で、放送で議長を呼び出す先生いるじゃん?彼にも葛藤があったんだと思うんだよね。それで、「連協」って舞台を選んだのが『紅白旗合戦』。

津和野:おれはその間にある『時かけ』も大事だと思っていて。あれっていい意味で宙ぶらりんな人たちの話じゃん。

冨坂:あの劇団はモラトリアムだからねえ。

津和野:学生という身分から出ていかなくちゃいけなくて。でも行かない、みたいな。そこからの5年後。

淺越:あいつらやめちゃってるからね。

津和野:それ挟んで『紅白』っていうのが。アガリスクエンターテイメントのひとつの変遷というか。

淺越:われわれが単純に年食ったのもあるだろうけどね。『時かけ』初演は大体実年齢くらいの役で。

榎並:うん。

淺越:で、今がその5年後くらいじゃない。ちょうど。

冨坂:あと、それによって劇団員、企画段階から関わっている人が先生役になったりするじゃん。そうするとどうしたってそこの目線が強くなっていくよね。

津和野:いいクロニクルだな、とは思ってて。『ナイゲン』を高校生とかがいっぱいやってくれてて、それでアガリスクにも高校生のお客さんがいっぱい来てくれて。で、この『卒業式、実行』って作品を実際の高校生が観たときに、生徒側で

観るだろうし。年齢上の人が観たら学校側とか保護者の目線で観るだろうし。それは面白いな、って。

冨坂:その話で思い出したことがあって。『いざ、生徒総会』を観た鹿島さんが言ってたんだけど。ほら、『ナイゲン』を他のところがやってるの観て、みんな自分のこと「OBみたい」て言うじゃない?それはわかるんだけど、『いざ、生徒総会』観て「OGみたい」って思ったらしくて。「あんたやってないでしょう」、と思うんだけど。

淺越:卒業どころか入学してねえだろ、と。わかるけど。

冨坂:話聞いたら、演劇部を卒業してから顧問の先生だけ残ってて、部員が自分たちじゃなくなってる現場を観に行った感じ。それを思い出したらしくて。

榎並:なるほどー!

淺越:すげーわかる。

津和野:おれあんま部活やってなかったからわかんねえけど。

一同:(笑い)

津和野:言ってることはわかる。

淺越:あの話は当然われわれやってないんだけど、本当に思想というか、言ってることは繋がってるからね。サーガだから。

津和野:「界」がいっしょというか。

超良質のポップソングにしたい

淺越:では、いろんな話が出たところで。そろそろまとめというか、目標やどんな作品にしたいか、とか。

榎並:役としては余裕はないけど、「榎並」としては余裕を持ってやりたいです。初演の時は本当に余裕がなかったから、誰の意見も聞けないし「わかんない!」て。

津和野:いっぱいいっぱいだった?

榎並:はい。役の榎並は余裕がないけど、自分は余裕をもって臨みたいなあ、と。あと、ダブルスでいっしょの『いざ、生徒総会』のメンバーには負けないぞ、と。(世代が)同じくらいなんで。

冨坂:そっかそっか。われわれからすると「若い人がやってんなあ」だけど、榎並さんからすると同じくらいなのか。

榎並:わたしからすると同世代がガチガチにやってる『いざ、生徒総会』に対して、「同じ世代のヤツがバッキバキに主役やってんぞ!」て気持です。「あなたたちのキュンキュン、わたしもやりますよ?」「負けませんよ?」って(笑い)。

津和野:おれはまず初演より笑いの数をより増やしたい。おれが、というか全体として。なんだろうね、小屋自体も大きくなっているから、分厚い笑いが欲しい。

榎並:わかるー!新宿FACE(註:『ナイゲン(全国版)』東京公演の会場)みたいなね。

津和野:そこは作品として突き詰めていきたいなあ、と。あと個人の話っていうとアレだけど、、、ポジションとしては「スーパーサポーター」みたいなポジションなんで、それをちゃんとやる。初演の終わったあととかに榎並とも話したんだけど、さっき言ってたみたいに主演というか真ん中でドンとやる、みたいなことに対して、、、この間ぼくがやらせてもらったんですけど。劇団の人で一番見てて欲しかったのは榎並で。

榎並:うん。

津和野:自分に対してプレッシャーかける意味もあったけど。「主役ってこうやんだぞ!」じゃないけど。それこそファルスでのジャンプさんとか。

榎並:『わが家』のハンスとか。

冨坂:ここ最近アガリスク主役がいる作品多め。あらすじ段階から強めの話にするとそうなる。

津和野:だから、主役・榎並を上げる、じゃないけど、、、脇に甘んじるんじゃなくて、いっしょに盛り立てて行こう、ていうところに卒実副・津和野としては心血を注げたら、いい作品になるんじゃないかな、て感じですかねえ。

榎並:メチャクソパワーアップしてやりますね。

冨坂 まず、笑えるのもそうなんだけど、アガる話にしたい。「ウワー!」というか「やったー!」というか、疾走感がある話にしたい。

津和野:「バーン!」って。

榎並:「ウリャー!」って。

冨坂:言ってしまうと再演というのもあるし、アガリスクの過去作品と比べると、なにか新しいことにチャレンジする作品ではない。

津和野:そうだね。

冨坂:目新しいなにかにはならないんですよ。だから、バックステージコメディの決定版を作る。『ラヂヲの時間』(三谷幸喜が脚本と演出を務めた舞台公演、並びにその映画化作品。生放送ラジオドラマの舞台裏を描く)の影響を受けて、そういうコメディが好きでそれの決定版を作る、みたいなことですかね。完成度というか、、、機能美みたいな。超良質のポップソングみたいな感じにしたい。大衆向けのポップソングは斬新さとかよりも「超良くできてる」、機能美なわけじゃないですか。

淺越:かつ、そこには聴く人が聴けば斬新さもメッセージ性もある。

冨坂:そういうプロダクトにしたい。そもそも『卒業式、実行』てのは『紅白旗合戦』から題材だけ貰いつつ、ポップでセルアウトな方向に舵を切ったわけじゃない?

淺越:恋愛要素強くしたりね。

冨坂:そのために主人公を「恋する女子高生」にしているから。どうやってもポップな方向性に行かざるを得ないんだよね。設計思想として。だからそれを突き詰める感じですかね。

津和野:だから最後バトルものになる。

冨坂:レインがデビルガンダムに取り込まれる。

榎並:観なきゃ。

冨坂:観なくていい(笑い)。

〈了〉

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